同じ服を着ても、似合う人と何かしっくりこない人がいます。この差、センスの問題に見えて、実はほとんどが「丈」で決まっています。身長が変われば、体に対して丈がどこに来るかも変わるので、同じMサイズでも見え方はまったく別物になるからです。この記事では、身長帯ごとに気をつけたい丈の目安と、足元まで含めた重心の整え方をまとめていきます。サイズ表を見ても毎回迷う、という人に向けた内容です。
身長で変わるのは「丈」と「重心」
服選びで身長が効いてくるのは、サイズ表記そのものよりも丈です。着丈、袖丈、パンツの股下。この3つが体のどこに来るかで、全体のバランスが決まります。
もうひとつ大事なのが重心です。重心とは、コーデ全体を見たときに視線が集まる高さのこと。トップスの裾が下のほうにあれば重心は下がり、短ければ上がります。重心が下がると落ち着いて見える反面、脚が短く見えやすくなります。逆に重心が高いと軽快に見えますが、上げすぎると子どもっぽくなります。
身長が低いほど、この重心のズレは目立ちやすくなります。数センチの丈の差が、全身に占める割合として大きくなるからです。僕みたいなチビは、ここを外すと一発でバランスが崩れます(笑)。
160cm台が選ぶ丈の目安
160cm台の場合、まず気をつけたいのは「丈が長すぎないこと」です。標準的なサイズ設計は170cm前後を基準にしていることが多いので、そのまま選ぶと丈が余りがちになります。
トップスは、裾がお尻にかかるより手前、腰骨のあたりで止まる着丈が扱いやすいです。裾が長く垂れると脚の始まる位置が隠れて、下半身が短く見えてしまいます。袖丈も同じで、手の甲に大きくかぶるようなら一度小さいサイズを検討する価値があります。
パンツは、裾がくしゃっとたまらない丈にするのが基本です。裾を軽く一折りするだけでも足首が見えて、そのぶん軽く見えます。ワイドパンツを履きたい場合の丈調整はワイドパンツの合わせ方!体型カバーもできる大人メンズの万能コーデでも触れているので、あわせて参考にしてみてください。
アウターも短めの着丈を選ぶと全体がまとまります。ロング丈のコートに憧れる気持ちは分かりますが、裾が膝下まで来ると縦の面積が増えすぎて、生地に着られている印象になりやすいです。どうしても着たいなら、インナーとパンツを細めに揃えて縦のラインを1本通すと成立します。
サイズ展開にSサイズがあるブランドを見つけておくのも実用的な対策です。同じMサイズでもブランドによって設計が違うので、自分に合う設計のブランドをいくつか押さえておくと買い物が一気にラクになります。
170cm台が選ぶ丈の目安
170cm台は、既製品のサイズ設計がちょうど基準にしている身長帯です。表記通りのサイズを選べば、だいたい想定されたバランスで着られます。
トップスの着丈は、腰骨からベルトの少し下あたりまでが標準的な範囲です。この範囲なら、パンツにインしてもアウトのままでも成立します。少し長めを選べばリラックスした印象に、短めを選べばすっきり見えるので、狙いに応じて振れる幅があるのがこの身長帯の強みです。
自由度が高いぶん、逆に決め手がなくて迷いやすいとも言えます。迷ったら、腰骨が隠れるか隠れないかのライン、を基準にして選ぶと判断が早くなります。
パンツも同様で、標準的な股下設定がそのまま合うことが多い身長帯です。ただし体型による差はあるので、同じ170cmでも脚の長さには個人差があります。表記を信じきらず、実際に穿いたときに裾がどこに来るかを確認するのが確実です。
この身長帯の人がやりがちなのが、なんとなくMサイズを選び続けることです。ブランドによってMの設計は本当にバラバラなので、着丈と身幅の実寸を見る癖をつけておくと失敗が減ります!
180cm台が選ぶ丈の目安
180cm台になると、今度は「丈が足りない」問題が出てきます。標準サイズだと着丈も袖丈も短く感じることが多く、サイズを上げて対応することになります。
ただしサイズを上げると、丈と一緒に身幅も広がります。丈を合わせたら胸まわりがブカブカになる、という状態になりやすいので、丈基準で選ぶか身幅基準で選ぶかの判断が必要です。トップスは丈を優先し、身幅が余るぶんは素材の落ち感でカバーする、という考え方が現実的だと思います。
パンツは股下の表記を確認するのが確実です。同じウエストサイズでもブランドによって股下が数センチ違うので、表記を見ずに買うと裾が短すぎる失敗が起きます。裾が足首より上で終わってしまうと、意図した抜け感ではなくサイズが合っていない状態に見えます。
袖丈も見落としやすいポイントです。手首が大きく出てしまうと、それだけで服が小さく見えます。長袖のトップスを選ぶときは、手首の骨が隠れるくらいの袖丈があるかを確認しておくと安心です。
一方で、身長がある人はロング丈のアウターやワイドなシルエットが素直に似合う、という強みもあります。縦のラインを活かせるので、丈の長いコートやゆったりしたパンツは積極的に選んでいい範囲です。
パンツの丈はくるぶしが基準
パンツの丈で迷ったときは、くるぶしが見えるかどうかを基準にすると分かりやすいです。
くるぶしが見える丈は、足首の細い部分が出るので軽く見えます。夏場や、抜け感を出したいときに向いています。逆にくるぶしが隠れて靴に少しかかる丈は、落ち着いた印象になります。秋冬の重ための格好や、きれいめに寄せたいときはこちらです。
避けたいのは、裾が靴の上でくしゃくしゃにたまってしまう状態です。脚のラインが途切れて、実際より脚が短く見えます。裾を折るか、丈を詰めるか、どちらかで調整すれば解決します。
丈を詰めるのが面倒に感じるかもしれませんが、既製品を買ったらそのまま着なければいけない決まりはありません。数センチ詰めるだけで見え方が変わるので、やる価値はあります。
シルエットによっても最適な丈は変わります。細身のパンツは足首を出したほうがすっきりしますが、ワイドなパンツで足首を出しすぎると上下のバランスが崩れやすいです。太いシルエットなら少し長め、細いシルエットなら短め、と覚えておくと判断しやすくなります。

アウターの着丈は腰骨を基準にする
アウターは面積が大きいぶん、着丈が全体のバランスをそのまま決めてしまいます。基準にしやすいのが腰骨です。
腰骨より上で終わる短めの着丈は、脚が始まる位置が高く見えるので、身長が低めの人ほど相性がよくなります。MA-1やコーチジャケットのような短め丈のアウターが着やすいのはこの理由です。
腰骨からお尻にかかるくらいの着丈は、標準的でどの身長でも扱いやすい範囲です。膝に近づくロング丈になると、縦のラインが強調されるぶん落ち着いて見えますが、身長がないと生地に着られている印象が出やすくなります。ロング丈を選ぶなら、インナーとパンツを細めにして縦の線を通すとバランスが取れます。
トップスの着丈で重心を動かす
トップスの着丈は、重心を動かすための一番手軽な手段です。
裾が長いトップスを選べば重心は下がり、短ければ上がります。全体を落ち着かせたいのか、軽く見せたいのかで選び分けられます。ロング丈のカットソーを重ねて意図的に重心を下げる着方もありますが、これは身長がある人のほうが成立しやすい手法です。
裾を前だけパンツに入れる方法も使えます。全部インするときっちりしすぎる場合でも、前だけ入れれば腰の位置がはっきり見えて、脚の始まりが上に見えます。オーバーサイズを取り入れるときのバランスの取り方はオーバーサイズの着こなし方とコーデ!メンズのラクな合わせ方のコツでも解説しています。
足元で重心を調整する
丈だけでは調整しきれない部分を最後に埋めてくれるのが足元です。
ソールに厚みのあるスニーカーやブーツを履けば、それだけで数センチ底上げできます。ボリュームのあるソールは脚全体のバランスも変えるので、視覚的な効果は身長の数字以上に出ます。マジで、ソールを変えるだけで印象が変わるので、ここは意外と重要なポイントです。
もうひとつ効くのが、パンツと靴の色を揃えることです。黒いパンツに黒い靴を合わせると、脚と足元の境目が消えて、縦のラインがそのまま伸びて見えます。逆に白いパンツに黒い靴だと、そこで線が切れて脚の長さが分断されます。
靴下も同じ理屈で、パンツと近い色にすると足元がつながって見えます。細かい話ですが、こういう積み重ねが最終的なバランスを作ります。
サイズを上げるときの限界
丈を確保するためにサイズを上げるのは有効な手ですが、限界もあります。
サイズを1つ上げると、着丈だけでなく身幅、肩幅、袖幅がすべて一緒に広がります。丈がちょうどよくても、肩の縫い目が腕のほうに落ちてしまえば、それはもう体に合っていない状態です。特に肩の位置は目につきやすく、ここがずれると全体がだらしなく見えます。
目安として、サイズアップは1段階までにしておくのが無難です。2段階上げないと丈が足りないなら、そのブランドのサイズ設計が自分の体型に合っていない可能性が高いので、別のブランドを探すほうが早いと思います。
背が低い側の人も同じで、小さいサイズを選び続けると身幅が窮屈になります。丈は詰められますが身幅は広げられないので、身幅で選んで丈を詰める、という順番のほうが現実的です。
身長は変えられないが、丈は変えられる
服のサイズ選びで一番効くのは、実は流行を追うことではなく、自分の身長に対して丈がどこに来るかを把握しておくことです。それさえ分かっていれば、どんなアイテムでも判断が早くなります。
背が高い人も低い人も、既製品はどこかしら合わない部分が出てきます。全部を完璧に合わせようとせず、一番目につく箇所だけ整えるくらいでちょうどいいはずです。丈を数センチ詰める、裾を一折りする、靴の色をパンツに合わせる。この程度の調整で、見え方は十分変わります。
サイズ選びで毎回迷っているなら、是非参考にしてみてください!

