自宅で洗ったダウンジャケットを干してみたら、ぺちゃんこ。キルトの間に中身がなくて、なんだか一回り小さくなった気がする。これ、やってしまうと結構へこみます!ただ、この状態からもう一度ふくらませられることは案外知られていません。この記事では、しぼんだダウンを戻す手順と、中綿が偏ったときの対処、そして戻らないケースの見分け方までをまとめていきます。
しぼんで見えるのは、たいてい乾ききっていないだけ
洗ったあとのダウンがしぼんで見える原因は、羽毛が壊れたからではなく、乾いていないからというケースがほとんどです。濡れた羽毛はくっついて小さな塊になり、その塊のぶんだけ中身が減ったように見えます。
やっかいなのは、表面が乾いたように見えてしまうところです。モンベルのお手入れページには、表面近くのダウンが乾いているように見えても内部は湿っている場合がある、と書かれています。ナンガも、表面が乾いていても羽毛が濡れていることがあり、カビや臭いの原因になると案内しています。
もうひとつ多いのが、脱水と干し方で羽毛が寄ってしまうケースです。濡れた羽毛は重いので、ハンガーに吊るしたまま長く置くと下へ落ちていきます。肩まわりが薄くて裾だけパンパン、という状態はこれが原因です。
つまり、干して半日で「失敗した」と判断するのは早いということです。まずは中まで乾かしきる。話はそこからです〜。
乾いたかどうかを見分ける
判断は手で分かります。ジャケットを平らに広げて、キルトの列を順番に手のひらで押さえていく。小さなしこりのような塊が当たったら、そこはまだ乾いていません。
ウエスタンマウンテニアリングの日本総代理店のページには、乾き終わったように見えても不十分なことがあり、内部のダウンが塊になっている場合は、どんな小さな塊であっても乾燥が不十分なサインだと書かれています。この見方を覚えておくと、無駄に落ち込まずに済みます!
とくに乾きにくいのが、首まわりとファスナー付近、それと袖口です。モンベルは、乾きにくい部分は表裏をひっくり返すよう案内しています。この3箇所に塊が残っていないかを最後に確認してください。
乾燥機が使えるなら、これが一番早い
ふくらみを戻す方法として、各ブランドが共通して挙げているのが低温の乾燥機です。回転しながら乾くことで、固まった羽毛がほぐれていきます。
| ブランド | 乾燥機 | 温度の公式表記 | 途中ですること |
|---|---|---|---|
| モンベル | 使える | 低温(60〜70℃)に設定 | 途中で取り出し、両手で軽くたたく |
| ザ・ノース・フェイス | 使える | 温度は「低温」に設定 | 何度か取り出してウエアをたたく |
| ニクワックス | 使える | 送風のみ、または低温設定(英語版の公式) | 塊がなくなるまで何度も回す |
| ナンガ | 公式の記載なし | — | 乾いたら両手でたたいてほぐす |
時間の目安も押さえておきたいところです。ウエスタンマウンテニアリングの日本総代理店は、モデルによって違うとしたうえで、2時間かそれ以上乾燥機を回してロフト(ふくらみ)を回復させる、と書いています。30分で終わる作業ではない、と思っておいてください。ここを我慢できるかどうかで仕上がりが変わります!
ひとつ注意が要るのが温度です。モンベルは60〜70℃としていますが、洗濯表示のタンブル乾燥の記号は、点1つが低温で排気温度の上限60℃、点2つが高温で上限80℃と決められています。数字がずれているので、迷ったら自分のジャケットの表示のほうを優先してください。
自宅に乾燥機がないなら、コインランドリーの大型乾燥機という手もあります。ただ、機種によっては温度を選べないものがあるので、低温や送風を選べるかを先に確認してください。高温しか選べない機械に、低温指定のジャケットを入れるのは避けたいところです。

乾燥機が使えないときの戻し方
洗濯表示でタンブル乾燥が禁止になっている場合や、家に乾燥機がない場合もあります。その場合は時間をかけて乾かすしかありません。
干し方は、厚みのあるハンガーで風通しのいい日陰。モンベルは表地の紫外線劣化を避けるため日陰で乾燥させるよう、ザ・ノース・フェイスは風通しの良い日陰で平干しするよう案内しています。そして、ここからが長いです。モンベルは仕上げに1週間ほど風通しのよい日陰で乾燥させると書いていますし、花王のエマールのお手入れページでも、陰干しのあとさらに2〜3日は室内に干しておくよう案内されています。
乾かしている間、1日1回は手を入れてください。ナンガは、可能であれば1日1回しっかりと両手で叩いて羽毛をほぐすよう書いています。完全に乾いたら、花王が案内しているように両端を持って軽く振りさばくと、空気が入ってふくらみが戻ります。
ちなみに梅雨のような湿度の高い時期は、そもそも洗うタイミングとして向きません。ナンガは、湿度が高い梅雨時期は匂いやカビの原因になる恐れがあるとして、洗濯を勧めないと明記しています。洗うなら空気が乾いている冬の晴れた日が正解です。
中綿が偏ったとき、戻らないとき
中綿が偏ったときの対処
乾いているのに、一部のキルトだけパンパンで、となりが平ら。これは羽毛が片側に寄っているだけなので、手で散らしてやれば戻ります。
やり方は単純です。膨らんでいる側を手で押さえながら、平らな側に向かって羽毛を押し出す。キルトは縫い目で仕切られているので、その区画の中で動かすイメージです。モンベルもザ・ノース・フェイスも、乾燥の途中で取り出して両手でたたくことをすすめていて、これは偏りを防ぐ意味もあります。
力任せに引っ張るのだけはやめてください。中の仕切りは薄い生地でできていて、強く引くと破れることがあります。破れると羽毛が別の区画へ流れてしまい、そのあとは手では直せません。
これは戻らない、という見分け方
ほとんどは乾かせば戻りますが、戻らないケースもあります。見分けるポイントは3つです。
ひとつ目は、完全に乾いてから2〜3日たってもふくらまない場合。中で羽毛が固まったままか、洗う前から羽毛が傷んでいた可能性があります。ふたつ目は、縫い目から羽毛が吹き出してくる場合。側生地が傷んでいるサインなので、洗うほど状態が悪くなります。みっつ目は、乾かしても獣くさい匂いが残る場合。内部が湿ったまま時間がたったときに起きやすいです。
自分でやれることをやって戻らないなら、クリーニング店に相談する手があります。東京都クリーニング生活衛生同業組合のコラムには、洗いの行程で一度ペシャンコになったダウンをもとのフカフカした状態に復元させるのは店の腕の見せ所、と書かれています。プロに出す価値がある部分、ということです。
ボールを入れるかは、ブランドで見解が分かれる
乾燥機にテニスボールを入れる方法はよく見かけますが、ブランドによって言っていることが違います。
ウエスタンマウンテニアリングの日本総代理店は、清潔なテニスボールをドラム内に入れると羽毛の偏りを抑えられると書いています。ニクワックスも英語版の公式ブログで、清潔なテニスボールを1〜2個入れると塊がほぐれると説明しています。
一方でグランジャーズは英語版の公式サイトで、テニスボールは強すぎて羽毛をつぶすうえ、色移りの可能性もあるとして反対し、専用のドライヤーボールを使うようすすめています。モンベル、ザ・ノース・フェイス、ナンガの日本語ページには、ボールについての記載がありません。
意見が割れている以上、必ず入れるものとは言えません。入れるなら色移りしない清潔なものを選ぶ、または途中で取り出して手でたたく方法に切り替える。このどちらかで十分です。
洗濯表示は製品ごとに違う
ダウンの洗濯でもうひとつ厄介なのが、製品によって指示がバラバラなことです。同じダウンジャケットでも、家で洗えるものと洗えないものがあります。
洗濯桶のマークに×が付いていたら、それは洗濯処理ができないという意味です。東京都クリーニング生活衛生同業組合も、水洗いが×の品物は家庭洗濯ができないとはっきり書いています。ここは自己判断で洗わないほうがいいところです。
ややこしいのは、ドライ表記のものです。ニクワックスの日本語の製品案内には、ドライ表記がある場合は同社の洗剤での洗濯はできないと書かれています。その一方でモンベルは、自社のダウンウエアについて一部で洗濯絵表示がドライのものがあるが手洗いして問題ない、と案内しています。ブランドごとに運用が違うということです。
ナンガも、製品によって洗濯絵表示が異なるので洗濯前に確認するようすすめています。結局のところ、手持ちの1着のタグを見るのが一番確実です。
次に洗うときの手順
一度戻せたら、次からは失敗しにくい手順で洗いたいところです。花王がエマールのお手入れページで公開している手洗いの手順と、モンベルの案内をまとめると、こうなります。
| 工程 | やること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 洗剤 | 中性洗剤を使う | モンベルは弱アルカリ性の洗剤は使わないよう案内 |
| 洗う | 水4Lにエマール10mL、30℃以下でたたんだまま沈める・浮かせるを20〜30回 | もむ、こするはしない |
| すすぎ | 2回 | モンベルもすすぎは2回以上と案内 |
| 脱水 | たたんだまま15〜30秒を2回 | 手で絞らない |
| 干す | 厚みのあるハンガーで風通しのいい日陰 | 乾いたように見えても中は湿っている |
| 仕上げ | 完全に乾いたら両端を持って軽く振りさばく | 塊が残っていないか手で確認 |
洗うタイミングは、シーズンの終わりが基本です。袖口や襟に皮脂汚れが付いたまましまうと、次のシーズンに出したときに黄ばみや臭いが出やすくなります。乾かすのに数日かかることを考えても、まだ空気が乾いている時期に済ませておくとラクです。
洗濯機を使う場合は、大きめのネットにゆったり入れて弱い水流で。モンベルは、防水透湿素材のウエアは裏返して洗うよう案内しています。
ニットの洗い方にも同じ考え方が出てきます。縮ませないコツはメンズニットを縮ませない洗い方!中性洗剤・平干し・毛玉対策までも参考にしてみてください。
そろえる道具は3つでいい
道具は、中性洗剤と大きめの洗濯ネット、それと干す場所。これだけです。下の表は、メーカー公式サイトで用途と容量を確認できたものに絞って並べました。僕が使ったうえでの感想ではなく、公式の表示をもとにした比較として見てください。
| 役割 | 製品名 | 用途の公式表記 | 容量・サイズ | 液性 |
|---|---|---|---|---|
| ダウン専用の洗剤 | モンベル O.D.メンテナンス ダウンクリーナー | ダウンや化繊綿を使用した中綿入りウエア、ギアの洗濯に適した洗剤 | 300mL/詰め替え280mL/1回分15mL | 中性 |
| 撥水ダウンにも使う洗剤 | ニクワックス ダウンウォッシュダイレクト | 撥水ダウン・通常のダウンに対応。羽毛に必要な油分を残して洗う | 300mL/1,000mL | — |
| 手持ちの洗剤で済ませる | 花王 エマール | 毛・絹・綿・麻・合成繊維用。公式Q&Aでダウンジャケットも洗えると明記 | 460mL | 中性 |
| 大きめの洗濯ネット | ダイヤ ガバッと開く洗濯ネット | ダウンジャケットやコートなどかさばる衣類に対応 | 約60×60cm(マチ約14cm) | — |
表の「—」は、公式サイトに記載がなかった項目です。乾燥ボールも探しましたが、単体で売られていて公式サイトに仕様が載っているものが見つからなかったので、今回は入れていません。
一度しぼんでも、たいていは戻る
洗ったダウンがぺちゃんこになると、もう終わったと思いがちです。でも実際は、乾かしきれていないだけということがほとんど。低温の乾燥機を回すか、日陰で数日かけて乾かして、途中で叩いてほぐす。やることはこれだけです!
自宅で洗えるようになると、ダウンの扱いがぐっと気楽になります。クリーニングに出す前提だと、シーズン中に汚れても我慢して着続けることになりますが、自分で洗えるなら気になったときに洗える。結果的に、着る回数が増えます。防寒着はしまい込むと本当にもったいないです。
これから1着選ぶなら、ダウンジャケットはシルエットで決まる!タイトとオーバーサイズの選び方も参考にしてみてください。洗って長く着るつもりなら、最初の選び方から効いてきます!

