マフラーを外した瞬間にバチッ。フリースの上からコートを脱ごうとしたら、パチパチと音がしてまとわりつく。冬になると、静電気に悩まされる場面が一気に増えます。実はこの静電気、着ている服の素材の組み合わせで、起きやすさがかなり変わります。今回は、コート・ニット・マフラーのどの組み合わせが静電気を起こしやすいのかを、公的な研究機関の資料をもとに相性表にして、まとめてご紹介します!
静電気は、素材の「組み合わせ」で起きる
静電気は、2つのものがこすれたときに起きます。こすれた片方がプラス、もう片方がマイナスの電気を帯びて、その電気がたまったところで一気に流れると、バチッとなります。
服どうしがこすれるときも同じです。ニットの上でコートが動く、マフラーが首まわりでこすれる。このとき、どの素材とどの素材がこすれているかで、たまる電気の量が変わります。つまり、静電気が起きやすいかどうかは、1枚の服の素材より、重ねる服どうしの組み合わせで決まります。
なので、静電気が嫌だからといって全部の服を買い替える必要はありません。組み合わせを少し変えるだけで、かなり減らせます。
自分の服の素材は、服の内側についている洗濯表示のタグで確かめられます。「毛」と書かれていればウール、「ポリエステル」「アクリル」「ナイロン」はそれぞれの化学繊維です。コート、ニット、マフラーの3つだけでも一度タグを見ておくと、どこで静電気が起きているかの見当がつきます!
プラスになりやすい素材・マイナスになりやすい素材
こすったときにプラスとマイナスのどちらになりやすいかを並べたものを「帯電列」と呼びます。労働安全衛生総合研究所の技術指針に載っている繊維の帯電列を、プラス側から順に並べるとこうなります。
| 位置 | 素材(帯電列の順) | 冬服でよく使われるもの |
|---|---|---|
| プラス側 | 羊毛(ウール)、ナイロン、レーヨン、絹 | ウールのコート・ニット・マフラー、ナイロンのダウンの表地 |
| 真ん中あたり | 綿、麻 | 綿のシャツ・Tシャツ・インナー |
| マイナス側 | アセテート、ビニロン、ポリエステル、アクリル | フリース、化学繊維のインナー、アクリルのニット・マフラー |
同じ資料には、この並びの中で離れた位置にある素材どうしほど、こすったときに生まれる電気が大きくなると書かれています。たとえば、プラス側の端にあるウールと、マイナス側にあるポリエステルやアクリルは、組み合わせると静電気が起きやすい関係です。逆に、並びの近い素材どうしなら、起きにくくなります。
ただし、この並びは純粋な素材で調べた目安です。同じ資料にも「目安にすぎない」と注意書きがあり、群馬県繊維工業試験場の資料でも、表面の状態などによって必ずしも並びどおりになるとは限らないとされています。あくまで「起きやすい・起きにくい」の傾向をつかむ目安として使ってください。
コート×ニット×マフラーの相性表
帯電列の並びをもとに、冬によくある組み合わせを整理しました。服の素材は、内側の洗濯表示のタグで確かめられます。
| コート | 中に着るもの | マフラー | 起きやすさの目安 |
|---|---|---|---|
| ウールのコート | ポリエステルのフリース | ウール | 起きやすい(ウールとポリエステルが離れている) |
| ウールのコート | ウールのニット | アクリル | 首まわりで起きやすい(ウールとアクリルが離れている) |
| ナイロン表地のダウン | アクリルのニット | アクリル | 起きやすい(ナイロンとアクリルが離れている) |
| ウールのコート | ウールのニット | ウール | 起きにくい(同じ素材どうし) |
| ポリエステルのダウン | アクリルのニット | アクリル | 起きにくい(マイナス側どうしで近い) |
| ウールのコート | 綿のシャツ+ウールのニット | ウール | 起きにくい(肌側は綿、外側はウールでそろう) |
考え方はシンプルで、プラス側の素材はプラス側どうし、マイナス側の素材はマイナス側どうしで組むことです。ウールのコートならウールのニットとマフラー、化学繊維のダウンなら化学繊維のニット、というようにそろえると、静電気は起きにくくなります!
表にない組み合わせも、同じ考え方で判断できます。手持ちのコートとニットとマフラーの素材をタグで確かめて、帯電列のどのあたりにあるかを見る。プラス側とマイナス側にきれいに分かれていたら要注意、近い位置にそろっていれば安心、という見方です。
相性表は、コートを羽織る前にさっと見返せるよう、スマホに保存しておくと便利です。朝の支度で迷ったときに、すぐ判断できます。新しくマフラーやニットを買うときにも、そのまま使えます。

避けたい組み合わせ3つ
ひとつ目は、ウールのコートの下にフリースを着ること。フリースはポリエステルでできているものが多く、ウールとは帯電列の両端に近い位置にあります。コートを脱ぐたびにパチパチするなら、まずここを疑ってください。
ふたつ目は、ウールのコートにアクリルのマフラー。手頃なマフラーにはアクリルのものが多いので、意外と多い組み合わせです。首まわりは顔に近いので、ここで静電気が起きると髪がマフラーにまとわりついて、外した瞬間に一番不快な思いをします。
みっつ目は、ナイロン表地のダウンにアクリルのニット。ナイロンはプラス側、アクリルはマイナス側なので、ダウンの中でニットがこすれるたびに電気がたまります。
3つとも、冬に何気なく選びがちな組み合わせです。手持ちの服にこの組み合わせがあったら、全部を替えなくても、どれか1つを替えるか、間に綿を挟むだけで変わります!
起きにくい組み合わせ3つ
ひとつ目は、ウールでそろえる組み方です。ウールのコートに、ウールのニット、ウールのマフラー。同じ素材どうしなので、こすれても電気の差が生まれにくくなります。見た目も素材感がそろって、上品にまとまります。
ふたつ目は、化学繊維でそろえる組み方です。ポリエステルのダウンに、アクリルのニットとマフラー。どちらもマイナス側で近いので、組み合わせとしては起きにくい関係です。
みっつ目は、肌側に綿を挟む組み方です。綿は帯電列の真ん中あたりにあるので、プラス側とマイナス側の素材のあいだに挟むと、両端の素材が直接こすれるのを防げます。ウールのニットの下に、綿のシャツやTシャツを1枚。これだけで、脱ぐときのパチパチが減ります〜。
見た目の面でも、この組み方は使いやすいです。白の綿のシャツにグレーのウールのニット、上に黒のウールのコート。白黒グレーでまとまって、静電気も起きにくい。DOMEBRAの「白黒をベースに」とも相性のいい組み方です!
マフラーは、コートの素材に合わせて選ぶ
首まわりの静電気が一番気になるなら、マフラーの素材から見直すのが早いです。マフラーは顔と髪のすぐそばにあるので、ここで静電気が起きると、髪がまとわりついたり、外した瞬間にバチッときたりして、不快感が大きくなります。
考え方は相性表と同じで、コートの素材に近いマフラーを選びます。ウールのコートなら、ウールやカシミヤのマフラー。帯電列には絹もウールの近くに並んでいるので、シルクのマフラーも組み合わせとしては近い関係です。化学繊維のダウンなら、アクリルやポリエステルのマフラーを合わせるほうが、組み合わせとしては起きにくくなります。
綿のマフラーは、帯電列の真ん中あたりにあるので、どちらのコートともそこまで離れません。ウールのチクチクが苦手な人にも向いているので、静電気とチクチクの両方が気になる人の候補になります。ライオンのお洗濯マイスターも、取材記事の中で綿とウールのマフラーの組み合わせを起きにくい例として挙げていました!
ドアノブのバチッは、服より靴と湿度
ここで1つ、知っておきたいことがあります。ドアノブや車のドアに触れたときのバチッは、服の組み合わせだけでは防げません。大阪産業技術研究所の資料によると、歩くときに体にたまる電気は、床と靴の組み合わせで決まり、着ている服の種類には左右されないという測定結果が出ています。
同じ資料では、静電気のトラブルは湿度の下がる冬に多く、湿度が低いほど体にたまる電気が大きくなるとされています。冬の乾いた部屋では、服の組み合わせを変えても、ドアノブのバチッは起きることがあります。
つまり、服の組み合わせで防げるのは、主に「服を脱ぐときのパチパチ」「マフラーや服が体にまとわりつく」「髪が逆立つ」といった、服どうしがこすれて起きる静電気です。ドアノブ対策なら、触る前に壁などに手のひら全体で触れて電気を逃がす、部屋の湿度を上げる、といった方法をあわせて使うのが現実的です。静電気対策のブレスレットについては、本当に静電気が減る、効果のある静電気対策ブレスレットで書いています。
組み合わせを変えられない日の対策
お気に入りのウールのコートと、手持ちのフリースを合わせたい日もあります。そんなときは、次の2つで対策します。
ひとつは、間に綿を挟むこと。フリースの下に綿のTシャツやシャツを着ておくと、肌とフリースの間で起きる静電気が減ります。インナーの選び方は、あったかインナーの選び方&着こなし!薄着で冬を乗り切るコツでも触れています。
もうひとつは、衣類用の静電気防止スプレーです。出かける前に、コートの裏地やマフラーにスプレーしておくと、静電気が起きにくくなります。ライオンの公式サイトでは、着ている服にスプレーするときは、必ず自分でスプレーするよう注意書きがあります。家族に背中側をスプレーしてもらう、といった使い方は避けてください。
下の表は、楽天の商品ページで在庫と価格を確認できたものです。僕が使ったうえでの感想ではなく、ページの表示をもとにした紹介として見てください。
| 種類 | 製品名 | ページの表示 | 価格(2026年10月18日に楽天で確認) |
|---|---|---|---|
| 静電気防止スプレー | ライオン エレガード 大 160ml | 衣類用(メーカー公式の表示) | 877円 |
| 静電気防止スプレー | 協和インターナショナル 静電気防止スプレー 無香料 160ml | 無香料(ページの表示) | 378円 |
価格は確認した日のもので、セールや店によって変わります。買う前に商品ページで最新の価格を確かめてください。

気をつけたいこと
ひとつ目は、混紡の服です。ウールとアクリル、綿とポリエステルのように、複数の素材を混ぜて作られた服はたくさんあります。洗濯表示のタグで、割合の多い素材を見て判断してください。割合が一番多い素材が、その服の性質に近いと考えると分かりやすいです。
ふたつ目は、湿度です。群馬県繊維工業試験場の実験でも、湿度が高いほうが糸にたまる電気が小さくなるという結果が出ています。服の組み合わせを変えるのとあわせて、部屋が乾燥しすぎないようにするのも効きます。
みっつ目は、コートを買うとき。静電気が気になる人は、コートを買う前に、手持ちのニットやマフラーの素材を確かめておくと失敗しません。ウールのニットが多いならウールのコート、化学繊維のニットが多いなら化学繊維のダウン。手持ちに合わせてコートの素材を選ぶのが、マジで一番効く対策です!
素材をそろえれば、冬の静電気はぐっと減る
服どうしの静電気は、帯電列の離れた素材を重ねたときに起きやすくなります。ウールにはウール、化学繊維には化学繊維。そろえられない日は、肌側に綿を挟む。これだけで、脱ぐときのパチパチやマフラーのまとわりつきは、かなり減らせます。
ドアノブのバチッは、服より靴と湿度の問題です。そこを分けて考えるだけでも、対策が立てやすくなります!
冬の静電気に悩んでいるなら、是非参考にしてみてください!

